2ペダルMTを上手に、長持ちさせる4つの方法
MT、AT、CVT、AMT、DCTなどだ。
このうち、いわゆるスポーツカーなどに多く採用されるのはDCT、AMTや、MTだ。
DCTはAMTの進化系だが大きく違う仕組み。AMTとMTはほとんど同じ。
そして、AMTはMTの「クラッチ」と「シフトレバー」操作を自動化したものだ。
だがこれが少々厄介で、メンテナンスにおいて重点が置かれる部分でもある。
各メーカーのAMT
AMTは、オートメーテッドマニュアルトランスミッションの略で、日本ではほとんど流通していないが欧州では過去に多くのスポーツカーが採用してきた。- フェラーリ→F1マチック
- マセラティ→カンビオコルサ
- アルファロメオ→セレスピード
- BMW→SMG
- ランボルギーニ→e-ギア
- フィアット→デュアロジック
最近日本で、スズキのアルトがAMTを採用し話題になった。
なお、ポルシェの「ティプトロニック」はAT、「PDK」はDCT。フォルクスワーゲン・アウディグループの「DSG」や「Sトロニック」もDCTだ。
AMTの欠点
AMTは、元がMTだけあってスポーツカーに適した、ダイレクトな変速が魅力だが、そもそもクラッチの操作という人間の繊細な動きを機械がまかなうわけで、どうしても「人間のアクセル感覚」と「機械のクラッチ」が噛み合わないことがある。すると、発進時や変速時に無駄に半クラッチが長かったりして、普通のMTより摩耗が進んでしまうことがある。
新しければ新しいほどその度合いが少なかったり、アフターマーケットから変速プログラムに介入して抑制できるものの、根本的な部分を知っているか知らないかで大きな差ができる。
知らずにAT車からAMT車に乗ってさもATの様に運転してしまうと、動きもギクシャクするし、故障も早めてしまう可能性があるのだ。
AMT共通の気をつけたい乗り方4点
① 停止から急発進しない
これはMTにも言えるが、いきなりアクセル全開なんてもってのほか。ただ削れるだけでメリットは何もない。ゆっくり踏み込み、クラッチミートした感覚があったら少しずつ加速していく。
駐車時も、無用に踏み込まず、なるべく一回で決めたいところだ。
② 内部の抵抗を減らす
MT経験者にはわかりやすいだろうが、シフトアップ時は直前にちょっとだけアクセルを戻して変速し、シフトダウン時には(ブリッピング機能がある車種でも)変速した瞬間に軽くアクセルをあおってやる。つまり、(構造的な説明は別の記事で書かせて頂くとして)ミッション内部で強固に連接していた「機械同士の圧力」や「機械同士のスリップ」を減らし、摩耗や衝撃を防止する。
③ 減速時にニュートラルにしない
信号待ちなどでは、ニュートラルにせずに停止する。MTでは停止前にニュートラルにする場合が多いだろうが、それは自分でクラッチを切れるから。
AMTは減速時に自動でギアダウンされ、停止時はクラッチが切れる。切れないとエンストしてしまうから当然だ。
しかし減速途中で無理にニュートラルにしたり、頻繁にニュートラルにしたりすると、むしろ機械的に動かしている「ポンプ」や「アキュームレータ」が摩耗する。
また、車速側の軸とギアを繋いでいる「スリーブ」を、負荷が掛かった状態のまま「シフトフォーク」が引き離すので、こちらの摩耗も進む。
④ 完全に停止したらニュートラルにする
ニュートラルではなくクラッチを切った状態(1速のまま停止)が長すぎると、切るために押し付けている「クラッチレリーズベアリング」と、押し付けられた「クラッチダイヤフラムスプリング」が摩耗する。③のことがあるので、渋滞など頻繁に発停を繰り返す場合は毎回「1→N→1→N」などしない方がいいが、長い信号待ちなどではニュートラルにした方がいいだろう。
やってみるとスムーズな運転になる
上記の4点は、クルマを維持するためにぜひ実践したいテクニックだが、これらを行うことで変速ショックが減ったり、加速時のギクシャクが減り、運転自体がスムーズになる。AMT車に乗っている人はもちろん、MT車も基本的には同じような仕組みなので参考にしてもらいたい。
※書いていて、クラッチやミッションの構造を説明した方がいい気がしたので、後で記事にしたいと思います。
文:sion