高音サウンドを出す為に高回転化を目指す


高い音には速い速度で

以前の記事で、ピストンスピードを高めてあげることが、高音サウンドに必要だと書いた。 *参考:エンジンと音1:V6ではダメ!?心を揺さぶる「官能サウンド」の理論

現実に、ピストンスピードを上げるということは、いわゆる高回転化をすることとほとんど同じ。

ではどうしたら高回転化出来るのか。

ピストンストロークを短くする

1番効果的なのが、いわゆるショートストローク化。

ピストンは、1ストロークでシリンダの上と下で止まる時間があるから、スピードを上げるにはそのストロークを短くするのがいい。

2000ccの4気筒を例に挙げると、1気筒500ccのシリンダで、ストローク86mm×ボア86mmならスクエア、ストロークよりボアが大きければショートストローク、逆にストロークよりボアが小さければロングストロークとなる。

カスタムでは、同じ排気量アップでも、ヘッドを交換してストローク側を広げるより、ボアを拡大した方がショートストロークにしやすいと言える。

ただし、計算上では、同じ排気量でもロングストローク型をショートストローク型と同じ回転数まで「回せれば」、ロングストローク型の方がピストンスピードは速くなることを付け加えておく。

つまり、ストロークが長いエンジンで高回転化できれば超高速ピストンスピードが得られるが、技術的に困難なため、高回転化しやすいショートストローク化で「高回転域で」ピストンスピードを上げようということだ。

ピストンを軽量化する

ピストンやコンロッドなど、慣性の影響を受ける部品を軽量化することでも高回転化に繋がる。

ただし、この場合、軽量化により抵抗やロスを減らすことで高回転化に繋げる、ということだ。

理科の実験で経験があるだろうが、重いものが遅く動くわけではない。

排気量を小さくする

根本的なことだが、排気量自体を小さくすることも高回転化には有効だ。

3000ccのV6より、2500ccのV6の方が高回転化しやすい。ピストン等の慣性力が少なくなり、抵抗が減るからだ。

しかしよく回るエンジンにはなりやすい反面、低回転時にトルクが不足しがちになる。

平均ピストンスピードの速いクルマは?

一般に、25m/sあたりが平均ピストンスピードの限界と言われているが、そんな市販エンジンはほとんどレーシングスペックに近いもの。

2000ccの86mm×86mmスクエア型エンジンで、7000rpm回してもざっくり計算して20m/s程度にしかならない。

そんな中で、25m/sを叩き出す高性能エンジンがある。

アウディの多気筒エンジン群だ。

まさに、ストロークは長いのに、超高回転を実現しており、あの甘美なサウンドに一役かっている。
  • アウディR8: V10→ストローク92.8mmのエンジンを8250rpmまで回し、5200ccながら25.5m/sを誇る
  • アウディRS5:ファミリーカーにも出来そうな、アウディRS5のV8→同じく4200ccで25.5m/sだ
フェラーリ458スペチアーレですら、24.3m/s止まりだから、なんとも高性能ぶりが伺える数値だ。

参考:平均ピストンスピードが20.0m/s以上の車ランキング

文:sion(官能サウンド研究家)
編集:mushitaro

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